奥の院通信から R4 9/29 「イギリス王室の危機」

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先日エリザベス女王が崩御された。メディアは早速、女王は「国民から愛された女王」と讃え、同時に「王室の危機の時代」ともいう。

 ダイアナ妃(1997年8月31日死去、36歳)が批判されていた時代、苦労された。
今、世界中が喪に服している。スイスのマッターホルン、ドイツのブランデンブルグ門、オーストラリアのオペラハウスに女王の肖像、ニューヨーク市のエンパイアステートビルには、若かりし時代の女王の肖像が映し出された。

 女王は言われた。「憎むことや、破壊することはいつの時代も簡単だ。憎むのではなく、大切にし、壊すのではなく、築くことは遙かに難しい」と。
 女王は統合する役割を果たしてこられた。
 私は貴方がたを、戦場に導くことは出来ません。法律を与えることも、正義を行うことも出来ません。しかし、それ以外のことは出来ます。私は私の心とイギリス国王としての献身(祈り)を、この古い島国と、その兄弟関係にある全ての国民に与えることが出来ます。

 「ロンドン橋が落ちた」。これは1960年代から作成されているこの時のための、コードネームである。女王の崩御の公表、公式な服葬期間、国葬の詳細などの重要な項目などは、女王ご自身がお決めになり、1960年代に作成し、これが毎年更新されており、ジョージ六世崩御の時は、これが「ハイド・パーク・コーナー」であった。
 今回は、女王が崩御されると、王室秘書官がその時の首相へ伝えられる言葉(コードネーム)は、「Rondon Bridge Down」であった。続いては、内閣、政府官僚へ、そしてエリザベス二世が女王である15カ国の英連邦王国、豪州、カナダ、ニュージーランド(NZ)、ソロモン諸島、印度などの、それ以外の英連邦に伝えられる。そしてこの女王の崩御は、一つの国の女王の崩御ではない。英連邦、コモンウェルスであり、女王はこれが分裂する危険を防ぎ、統合を保つ役割を担ってこられたのである。

 旧大英帝国の領土である56カ国の加盟国は経済同盟で、そこに26億人、世界人口の3分の1がおり、国連に次いで2番目に大きい政府間組織である。そうのち15カ国は、現在も君主が英国の君主である。カナダの国王はエリザベス女王である。オーストラリアの王もエリザベス女王である。

 女王は、在位70年で、この間に15人の英国首相、14人のアメリカ大統領がその地位に就き、且つ彼女は女王であり政治家(Stateswoman)であった。単なる国家元首ではない。彼女はその生涯を分裂する社会の統合者として、私たちの国家意識を代弁する者として過ごした。
 国のために尽くした後、彼女は心から愛される国民の母となったのである。単なる女王ではない。

 この度、女王は崩御された。新国王の正式名称はチャールズ3世、君主が亡くなった瞬間に継承者が君主となる。しかし、カミラ夫人はチャールズ国王になっても、王妃の称号は持たない。亡きダイアナこそが王妃だ。ところが、今年2月、女王即位70周年のメッセージで、チャールズが即位したらカミラが王妃になると宣言された。だから9月9日カミラは王妃になる。これは長年のイメージ修復の総仕上げである。

 次はヘンリー王子である。しかし、彼については、英王室の人種差別非難が起きた。「記憶と異なる部分もあるが、真摯に受け止める」と女王は言われた。しかし、メディアは「王室の危機」、「君主制の廃止を求める声が存在する」と言い始めた。BBCラジオが女王死後すぐに、君主制は「多様性と相容れない」ものであり、「白人の継承された特権」の一例であるという。これはつまりは、君主制の正統性への攻撃である。

 9月8日、ニューヨーク・タイムズは、女王崩御の数時間後、オピニオン記事で、女王は「脱植民地化の血生臭い歴史を曖昧にする手助けをした。その遺産はまだ充分に認識されていない」という。
 「白人の継承された特権」の一例であると言い、さっそく君主制の正統性を攻撃しているのである。
政治経済の崩壊を受け、スコットランドを中心とする英国分裂の可能性をいう。歴史的に見れば、英国王室が高い評価を受けないことは珍しくはない。英国民は一人の王を処刑し、他の数人は内戦で命を落としている。しかし、ヴィクトリア女王以来、王室は国民の人気を得てきた。それなのに、エリザベス二世がこの時代の終わりになるのではないかと危惧している。

 ここで指摘している王の処刑も内戦も、今このメディアのいう王室を危機に陥れた者たちと同じ連中、つまり常に変わらぬ奥の院・ディープステートなのではないだろうか。同じ連中が、英王室を壊しにかかっておいて、王室の危機だと叫んで見せている。これでこの連中は、世界中の王室を、君主を葬り去ってきた。日本の天皇も彼らに常に狙われている。小室事件は終わっていない。