幼い頃の思い出 小学三年生まあちゃんの一人旅 その3

まあちゃんの大冒険が終わってその後幾度かは
田舎を訪問します。

その後何年も訪問できない時期が続いたある日のこと。

まあちゃんは29歳になっていて、新しく会社を興したばかり。
会社に兄から電話。
「羽根のおばあちゃんがどうもダメかも」

その翌日すぐに田舎へ車で出かけます。

怖いおばあちゃんは自宅のお部屋で横になっていました。
もうそんなに長くはないことを知りました。
おばあちゃんは自分を見て「まぼか」と短くひとこと。

それから1週間後に息を引き取ります。
なぜか名古屋に戻ることが出来ずにいて、怖いおばあちゃんと
ずっと一緒にいました。

不思議に涙は出ません。
ただどんな間柄であっても父親を生んでくれたことに
代わりはなく、自分の出自に繋がることにただ頭を下げました。

葬儀の日兄に届けてもらった喪服を着て土葬の棺を
山まで担いでいきました。
墓穴に土を入れます。

おばあちゃんの一生はどんなだったんでしょう。
正妻としての存在でなく、それだけに何時も気丈に
生きなければならずそれだけに厳しい言葉で生活を
満たしていたことでしょう。

今も山に眠るおばあちゃん。

ありがとう。

声が聞こえます。

「まぼ はよ行きさーー!!」