杉山 まつ ワシントン靴店 創立者
当時、台湾は日本の植民地でしたから、たくさんの日本人が住んでいました。農産物が豊かで治安のよい台湾を、私たちはすっかり気に入って永住の地と決めて暮らしているうちに、いつの間にか十年が過ぎてしまいました。
台湾は日本の敗戦と同時に無政府状態になって、不穏な空気は日増しに強くなるばかりでした。身の危険を感じた日本人は、ひっそりと家の中にこもり、一日も早い帰国を望んでいました。その時、蒋介石総統は、「恨みを以て恨みに報いず、それを犯したものは極刑に処す」という内容の広報を出しました。そのおかげで、無事、敗戦の翌年には、台湾に住んでいた五十八万の日本人は、日本へ送還されることになりました。
“致知出版社 一日一話 読めば心が熱くなる・・ 第二弾 12 「私たちには帰れる祖国がある、大地がある」” の続きを読む