伊勢白山道から 「人生の途中の景色にダマサれないように」

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ネットニュースを見ていますと、ボクシングの元ヘビー級世界王者マイク・タイソン氏(56歳)が、最近の御自身の体調から死期が近いと感じ、かなり達観(たっかん:真理や道理を悟り、何事にも動じない心境のこと)した感想を語っておられて感心しました。

現役時は100億円を超えるファイトマネーを稼ぎ、それを引退後の浪費生活で使い果たし自己破産するという、頂点と絶望を体験した御方は、その人生経験から悟る可能性が有る良い例だと思いました。

発言の概要:
「たくさんの御金を持っている、それの何が安心なんだ?
私には、まったく分からないね。
たしかに銀行に貯金が有り、毎週の生活費の小切手を受け取り、一生生活することは出来る。

でも、それの何が安心なのかい?
それが出来るだけで、病気に感染したり、車に轢かれたり、橋から飛び降りて自殺したり絶対にしないってことに成るのかい?

いかがだろうか。それが安心っていうものだろうか?
お金でそれらから守られるってことかい?

大金を手にしたことがない人は、大金が有れば安心すると思っている。
御金が有れば、他人から愛されると思っている。
多くの金を持っていると無敵だと考えてしまう。
間違った安心感を持ってしまう。
でも、そんなことは一切無いのだ。
自分の死を前にして金は、私にとって何の意味も持たない。」
(海外ニュースからの意訳)

このような意味を語っておられました。
自己破産後も、その知名度から経済的な回復をされて、現在は資産10億を超える生活を手堅く維持されているそうです。

私達は、「御金さえ有れば」と思い込んで、他人と争ったり、家族と喜怒哀楽を繰り返します。
でも、肝心なその御金が手に入っても、安心することは無かったということです。
ましてや金で、他人から「心から」愛されることは無いのです。

マイク・タイソン氏からは、
・ 愛情への渇望。
・ 優しいことが好き。
という意外性を、その生い立ちから感じます。

タイソン氏は、ニューヨークのブルックリンで育ったそうです。
日本人には想像が出来ないほどの、日常での暴力・仲間たちの死、貧困という環境の中で成長されました。
でも、彼はそういう少年期の環境の中でも、鳩を大切に育てていたそうです。
今でも鳩を飼っていると読みました。

ここに彼の本性としての優しさや、愛情を観ます。
つまり彼は人生で、優しさの有る少年から始まり、人生の絶頂を無敵で体験し、そして全てを失くす体験もして、現在は愛情を優先した人生を語っています。

以上から感じますことは、今が御金も無い苦しい生活であっても、
・ 自分の家族や周囲に居る縁ある人々への愛情を大切にして欲しい。
・ とにかく、それが答えなのです。

でも、そう言うならば、マイク・タイソンに今の10億円〜を失くしてから言ってみろよ。
と思う人も居るかも知れません。
しかし、もう長く生きることが出来ないという病の自覚を持つ人の心境を察してください。
本当に死を前にすれば、以上の意味が分かることでしょう。

そして、思い出す老子のエピソードが有ります。
「人間が成功を真に極めて至る最後の姿は、原木のような純朴な人間なのです」

学問を長年も苦労して勉強し、人生を費やして厳しく追求した結果、ある程度の叡智に到達が出来た大人は、逆に純朴で素直な子供のように帰って行く。

それならば、今が素直で純粋な子供ならば、勉強が出来ないと怒るのは間違いである。
苦労して勉強をして頂点に立たなくても、既に今が究極のゴールである素直で純粋な子供だからである。子供が素直さを維持するように育てたほうが良い。

このような指摘を老子はしていると私は解釈します。
私達は「途中の景色」(お金、異性、地位、仕事など)のために、大切な愛情や良心まで売らないようにしたいものです。
何か、皆様の参考に成れば幸いです。