この国のどこかに・・・・

この国のどこかに・・・・

ももえさんの歌の文句ではありませんが。
最近になって立て続けに映画を見ました。
自分で見たいと思った「君の名は」。

昔の同名映画は岸恵子さんと佐田啓二さんが主人公です。小学校5年生のときにバスの中で生オケでこの主題歌「君の名は」をうたったほど好きな歌の題名でした。でもこの映画の上映館はほとんど若い方ばかりで恥ずかし。終わったら明るくなる前に先に出ようと思いました。

この映画には長く続く人間の「縁」を感じました。一回だけでない人の生涯。だから肉体は仮の宿で、意識だけがずっと継続することを表現している映画と思います。若い方や世界でも、そして韓国や中国でも話題になるはずです。「今」お会いしているすべての人々との懐かしい縁を大切にしたいと思わされます。きっと涙された方もたくさんおありでしょう。

次は他の方に奨められて「この世界の片隅に」です。
もうボロボロでした。

何にこんなに感じたんでしょうか。おばあさんが出てきてしゃべるだけでもういけません。戦争中、戦後食べるものがなくて苦しいはずなのに、家族はみんな愚痴も言わず食卓は笑いが絶えません。あるものに感謝する、こんな大切なことが普通に家族にある昔の情景です。物質が大変に豊かになった戦後ですが、このなんにでも感謝すると言う基本がだんだん遠くなっていました。そして広島長崎の二つの激しい記憶さえも遠くなってきていました。

6年前の福島。原発の是非云々よりも何よりも、この国のどこかが人の住めない場所になっている事実を改めて認識し思い出しました。ふるさとに生まれ育ち、ふるさとを追われ戻れない。福島の人たちの悲しみが迫ります。そして逆に戦後復興した広島長崎の人々の、そしてこの国の人々の底力をも感じました。多くの方に、特に今苦しいであろう若い方々にぜひ見ていただきたい、勇気が出る、心があったかくなる映画と思います。

そして最後に「沈黙」。
遠藤周作さんの原作です。
重い映画です。

信仰を捨てることを他が強いても、それは形ではできても心の中を変化させることはできません。肉体的な苦しさよりも、他への思いやりによる苦しさに絶えられず、形で信仰を否定した主人公ですが、結局は何も変わらずに肉体の生涯を終えます。限界のとき、いくら問い続けてもずっと黙ったままの神。最後に少し軽いイエスが主人公の心に赦しを与えます。自分が自分を赦した瞬間です。自分の心にずっとあるどす黒さや弱さを見させてくれる映画です。そしてどなたの中にでもある神性をもまた見せてくれると思うのです。