随想 伊路波村から120〜50回忌、養父母健在の頃

世の中が凄い速度で変化している。
できごともちょうどピッタリのことが
多くて、時に驚かされる。

その昔興味のあったことがらに
まったく興味がなくなったり、
活動がいやになったり。

かといって静かにしていたいわけでもない。
まったく別のこと。

養子の自分としては、山田家の親戚とは
他人なのだが、すでに老いた人々でも
お会いした時から気になる人もいる。

それは80歳になる養母の弟さんで、現在78歳と聞いた。
山田善兵衛さんの奥さん、すなわち養父の
お母さんの50回忌が11月も終わりの週にあった。

その日善兵衛さんゆかりの老いた人々が
山田家に集った。

気になる母の弟さんは現在奈良在住。
若くして早期退職を希望され、大手のメーカーの
工場長の役を退き、桑名の本家を去り、
奈良に建売住宅を購入し移り住んだのだった。

温厚にして毅然とした態度に、
いずれとも異なる、なんともいえないやさしさを
みていた。

娘たちはこの母の弟さんや奈良の家が大好き。
庭はすべて自然栽培の野菜でいっぱい。

弟さんは遠方からの法事出席だからと、前日から名古屋入り。
クラウンに宿を取り、温泉に一緒に入り、
父母や家内や子供たちと共に夕食をいただいた。

今は四国巡礼の旅が楽しみ。
もう2回目に入ったとか。
途中昔ばなしに胸をつまらせながらお話された。
「おかげであちこち母親が連れて行ってもろて、
喜んどったで・・・。」
山田家に嫁いだ姉によく旅に連れて行ってもらったことを
母親が喜んでいたというのだ。
お姉さんへの感謝でいっぱいだった。
うれし泣きの年齢になられたのだろうか。

後日、母にたずねた。
「たつやさんて、いつもあーやって泣かれるの。?」
「なに、あんなこと始めてやわ、ビックリしたわ・・・。」
いまだに桑名弁の母なのである。

翌日家で法事。
昼食には近くの料理屋さんに出かける。
おいしいお料理を、思い思いの話をしながら
いただいた後、85歳になる父のあいさつがあった。

「あの・・・、今日はよう来ていただいて、
今日の主役はみんなだな、みんなだ。」

短い挨拶の中に、来ていただいた方への感謝の
気持ちが溢れ出ていた。

あと3年後には善兵衛さんの50回忌を
迎える。
それまで元気にいてください。
おじいちゃん、おばあちゃん。

いつもおじいちゃんにこごとの多いおばあちゃんだが、
「あんた・・・、こないだの挨拶よかったな。」
だって。

ありがとう。