随想 伊路波村から126〜ディープインパクト

ディープインパクト
「いっぺん寝て、そのころ起きるから」
といって8時ごろ寝入った昨夜。

隣室の「ディープインパクトが・・・・・」
というテレビ音に始まるのかと飛び起きた。

隣室では家内がめずらしくNHKのドキュメント
を見ていた。

無敗のまま三冠馬となったディープインパクトの
ドキュメントだった。
この番組が終わったあとNHKはフランスの
凱旋門賞をライブ中継することになっていた。

それで早寝してその時間に起きようと思ったのだ。
フランスのロンシャン競馬場。
なつかしさに心が躍る。

土木の仕事を辞して、名古屋での建築関連の
今の仕事に変わる、変わり目の時、ヨーロッパを
旅した。長男が生まれたばっかりだった。

学生時代から大好きだった競馬。
開催のない競馬場を見ることだけでも
嬉しかった。

パリでの旅行中の自由日、一人でロンシャン競馬場に
行って、午後から終了までいた。

馬券の買い方もわからない。
なんせフランス人は英語を話さない。
もっともこちらもできないけれど、
読むことくらいはすこしはできるのに、
フランス語ばかりなのだ。

それで幾度か馬券を購入して、
自分のえらんだ馬が優勝したりしたのに、
よくわからないまま帰ってしまった。
それでもよかった。
パドックでは盛装した紳士や貴婦人が
木の下に集っていた。
なんとも優雅な風景。

なんだかその頃ゲートがなかったような気さえしている。
ただ係りの人がヒモでスタートラインを
作ってヒモを離してスタートだったような。
ハッキリしない記憶。

直線をただ走るだけのレースもあったような。
いよいよ凱旋門賞が始まる。
八頭立て、
ディープインパクトの馬番は1番
で枠番は2番、これでわかった、
さっぱりフランスの競馬がわからなかったわけ。

馬番と枠番が日本と異なってまったく関係ないのだ。
32年前の疑問が解けた。

またそのことをその間知ろうともしなっかった自分が
おかしくなった。

レースが始まった。
武豊騎手はほんとにうまく乗っている。
父親である武邦騎手とそっくりの乗り方。
直線、日本からの応援もきっと届いたろうけれど、
ディープをマークした2頭に差されて3着だった。

武豊騎手はさすがに悔しかったのか、
インタビューアーの質問にまともに答えれない。

調教師の池江さんはディープインパクトの
国際レース再挑戦をテレビカメラの前で誓った。
なつかしいロンシャン競馬場が一時間
ずっと画面にあった。

私は、家内よりも生まれたての長男にもの凄く会いたくなった

あの20代後半のヨーロッパへの旅を思い出していた。