霊性の旅シリーズの最後は十和田神社です。
上海にある「玉仏寺」から始まった不思議な
感慨を与えられる場所、また初めてのお出会いで
なんともいえぬ懐かしさを感じ、やはり魂が震える体験。
それらのことはおそらくどなたの人生の中でも
あることでしょう。
場所やお人がなぜそのような体験をもたらすのかと
考えますと、人は決して一度の人生を生かされる
わけではないことを伝えられます。
もしそうならば肉はただの仮の姿で、役割を終えたら
ただ肉体を横たえるだけで、元である霊は永遠と
確信できます。
そのような妙なる体験は四国「剣山」と青森の
「十和田神社」では二度も与えられました。
十和田神社でのお話をお伝えさせていただきます。
一度目は主宰させていただく慈藹塾(じあいじゅく)の
ツアーで、青森秋田方面への旅でのことでした。
黒又山、大湯ストーンサークル、キリストの墓などを
訪ね、メインはおむすびで有名になった故佐藤初女さんの
ペンションでの宿泊でした。
佐藤さんにおむすびの作り方を習い、また昼食用に
たくさん握っていただいて、お別れいたしました。
次の訪問地「十和田神社」がある十和田湖に近くなって、
丘の上に車を止め、みなさんで初女さんのおむすびを
おいしいおいしいと言っていただいたあと、いよいよ
「十和田神社」です。
十和田湖は青龍が住むと言われ、昔から修験道の
修行の地でもあります。
みなさんで古い古い鳥居をくぐり、これまた古いお宮さんで
お参りします。思い思いの行動です。
なぜか自分だけお宮さんの裏に行きたくなり、
足が自然に向いていました。
裏はごつごつとした岩がたくさんあって、少し
小高くなっています。
そこを登ればそのまた裏は湖、おそらくそこでも
その昔、なんらかの修行がなされていたのでしょう。
ある岩の前に来た時にいつもの感覚通り、霊が
涙を誘いました。
しばらく動けずお仲間の方が心配したのか
一緒にいてくださいました。
それが一度目の体験です。
そして二度目の体験はおよそ10年後の十和田神社参拝に
起きました。
それはSさんという方から、何日の何時に神社の
鳥居の前で待っているからというお誘いから
始まりました。
「宿もとっとくから、安心してきてください。」との
簡単なお言葉でした。
実はこのSさんとのお出会いはまさに二度目の
神社行きの10年前にさかのぼります。
Sさんの著作本に大変に興味を持ったころ、
会いたいものと念願していましたら、知己の
A女史から高山でSさんに会う機会があるので
行きませんか。?とお誘いを受けたのです。
A女史は神画をちぎり絵で描かれる天才です。
特に菊理姫の神画は高名です。
後にこのAさんの菊理姫神画に白山中居神社の
本殿で遭遇します。
そして高山でのSさんとの初めてのお出会いから
お付き合いが始まり本当に親しくご縁をいただきました。
その後10年が経過し、ある日「十和田神社の前で待つ」との
連絡が突然にあったのです。
「必ずお一人で来てください。」少し変わった連絡でしたが
出来ればお人からのお誘いには何でもお答えするとの
決まりを自分で作っていましたので、青森空港から
レンタカーでお約束の時間に伺いました。
時刻通りにSさんは待っていてくださいました。
宿泊予定の宿の駐車場に車を駐車し、寒いので
神社の正面の土産物屋さんで二人で熱燗を
いただきました。
すこし落ち着いてさあそれでは参拝にと
腰を上げ、鳥居をくぐりました。
その時またあの感覚が蘇り激しく涙が出てまいりました。
すっと泣きながら神社の正面に立ちました。
Sさんは神社の本殿に入っていきました。
それに続いて昇殿します。
本殿ではどなたも見えず、また冬の、雪が今にも降りそうな
天気のこととて、他の参拝者は皆無です。
Sさんは神道系の「ヤタガラス」です。
ですから戸籍はありません。
やおら本殿の太鼓を「ドンドン」とたたいたあと
祝詞を上げます。
正座し頭を垂れ神霊に震える体を支えながら
心を無にしました。
その夜は三人で同室にて休みました。
そのパートナーの方との互いの今生の体験の
語らいが今回の旅のハイライトでした。
翌朝早くにお二人を宿に残し、レンタカーで青森空港へ
向かいます。
外に出れば真っ白の銀世界。
奥入瀬渓流の側道をつるつる滑りながら車を
走らせ、一路青森空港へ。
そしてこの旅の意義と、無事をかみしめながら
名古屋に戻りました。
後日この突然の旅のお礼の文とともに、本殿で
撮影した写真が一枚同封されていました。
そこには古代の十和田王朝のお姫様の巨大な
お顔や、数々の聖霊がびっしりと本殿に満ちた
情景がありました。
その数年後に青森の小牧野遺跡を訪ねる機会があり、
三度目の十和田神社へと一人で青森空港から車を
走らせました。
三度目では霊性の響きを感ずる機会は
ありませんでした。
不思議な「十和田神社」での体験は人生の宝物と
なっています。
感謝でいっぱいです。