奥の院通信から R4 6/24 「レバノンに見る国の崩壊」

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一昨年2020年3月、中東のレバノンは債務不履行(デフォルト)を宣言した。その直後に起きたのが、死者200人超、負傷者6500人以上を出した首都ベイルート港の爆発である。港に保管されていた硝酸アンモニウムが起因とされるが、今に至っても、原因究明できていない。

 レバノンはかつては中東のナポリと言われる美しい豊かな国であった。ところが、日本人にはカルロス・ゴーンが脱走して逃げ込んだ国として有名である。

 物価が高騰して超インフレとなり、今では市民は給料を貰っても、たちまちその価値が下落し、生活できない状況下にある。
 レバノンポンドは暴落し、物資の輸入は極めて困難になっている。物は入ってこないと言っていいほどの状況にある。

 原油が入ってこないから、発電所が止まって電力供給が出来ない。暑い国であるが、電気が来ないので冷房機は動かない。空調が効かない。電気がないので上下水道も止まったままで、水がない状態である。川は全て有毒で飲料水には使用できない。従って飲み水もない。病院は閉鎖され、完全な医療崩壊となっている。多くの医者は国外に逃げ出し、国内にはいない。

 学校も電気が来ない、水もないで、閉鎖され、先生も国外に逃げ出しているので、授業が再開される見込みも立たない。学校崩壊である。

 失業率が上がって、職がほとんどないので、若者は違法ビジネスに走っている。治安が極めて悪化し、犯罪が増加しているが警察が機能していない。軍も崩壊し、いきおい、ヒズボラ頼りとなっている。

 多民族国家で、宗教も多数あり、それぞれが議会に代表を送っているので政治は安定せず、周囲の国が援助の手をさしのべることも出来ないでいる。何事も決められず、政府は腐敗し、援助資金も何処かに消えてしまい、最終的に必要なところには届かない。

 こうした状況下で、ヒズボラが益々勢力を伸ばし、隣国のイスラエルと対立し、絶えずイスラエルから軍事攻撃を受け、ヒズボラもその報復攻撃を行って、軍事紛争は絶えない。
 そのヒズボラをまた隣国のイランが支援するので、レバノン国内はイランとイスラエルの代理戦争下にある。双方は和解する気配は全くなく、むしろエスカレートしそうである。

 レバノンを舞台に、イランとイスラエルが対立し、一触即発の状況下にあるが、ウクライナ紛争の最中で、世界の世論はそちらに向いており、レバノン危機についてはあまり注目されない。しかし、そこに存在している危機は相当深刻なものである。何時火を噴いてもおかしくない状況下にある。

 このレバノンも、奥の院・ディープステートが、世界大戦に導くべく火を付けているのである。イスラエルとイランの軍事衝突に進む可能性が常に存在する。ウクライナが収まったら、このレバノンで別の火が燃え上がるように仕組まれているのかも知れない。

 しかも、このレバノンを舞台に対峙しているのがイスラエルであり、奥の院・ディープステートの総本山であるから、ここで付けた火は消しようがない。ただエスカレートしていくだけである。

 この中東での火が燃え上がったら、まさにジョージ・オーウェルが書いた『1984年』の世界となる。世界は二つに分かれての歴史上の最終戦争となり、人類は「動物牧場」の中で飼育される世界となる。

 国家が崩壊するとどうなるかという問題を、レバノンは目に見える形で説明しているように思われる。多民族国家で政治が機能しなくなったらどうなっていくかを示している。