随想 伊路波村から106〜娘とのデイト

「しのちゃん行く?」
「明日10時からあるからなあ。
でも 起きれるかなあ。--」

しばらく 長女は考えて、「行こか!」
そんな会話が前夜にあった。

4日 ナゴヤドームの中日ー横浜 野球の話だ。
毎年このお盆の頃になると、立川に住む妹の家族が、
故郷の名古屋近辺の兄弟の家を転々とする。

3日と4日は山田家宿泊。
2人の子供のうち長男は今年はこない。
さすがに今年の春就職したから。
それでも去年までは20歳をすぎても毎年
ついてくる なんとも素直な長男さんであった。

3日夜話しているうち、妹の友人から電話。
それがナゴヤドームのチケット2枚のことだったのだ。

ところが4日は名古屋に始めて開院した
「むつう整体院」金山に出かける日。
そのあと終ってから、ドームにかけつけることにした。
むつう整体で グッスリ眠ってから 5時すぎ地下鉄で
ドームへ向かう。

「ねえ 幼稚園のあの モンキーセンター以来だね。
しのちゃんと2人で ちゃんとデイトするの。
ほら しのちゃん”ほうそう”で、幼稚園の遠足
行けなかったから、おとうさん かわいそうにと
思って 二人だけで行っただろ。?」

「わたし それね 覚えていないの。」

「しのちゃんね 電車のイスにもたれることも
なくて 背筋をしっかり伸ばして 黙って座ってたよ。」

そんな会話をしながら、ドームに着いた。
夕食、飲み物を購入し座ったらすぐにプレーボール。
直ぐ前の席には元気のいい若いママさんと、
1歳すこしの 目がクリッとした可愛い赤ちゃん、
そしてそのおばあちゃんの3人づれ。

若ママはビールが手伝ってか、
しきりにこちらに振り返って話し掛ける。
ナチュラルハイテンション。
子供もこちらにちょっかいかける。
おたがいだったけど。(笑)

そして遅れて着席した右席の父と小学生の
男の子コンビは熱烈ドラゴンズファン。
後ろの席の団体らしき人々も熱烈。
その父親はドラゴンズの選手一人ひとりの
応援歌を全部暗記しているのだから。(笑)

ドラゴンズに点が入ると、周りの席だけ大爆発。!!
みんなが一斉に「この席はええなあ!!」
なんせ生まれてはじめてのネット裏の超高級席だったのだけれどーー。
外野席のような盛り上がりなんです。(笑)

「お父さん いつもみたいに燃えないね」
娘が聞いた。
「なんだかね点の取り方がね。
四球、とスクイズとエラーで3点でしょう。
相手はスカッと二塁打で2点でしょう。
こりゃ負けてもしょうがないよ。」

それでもドラゴンズは1点勝っていて、
9回1死まで見て、ドームを後にした。

次の予定を2人で野球観戦中に作ってしまったから。
今度は名古屋駅前のプライナスライブだ。!
9時30分をすぎている。
駆けつけると、やってるやってる。
妹 母娘も来ている。
100人ほどの人々。

テレビ出演と夏休み効果か 新しいお顔も多い。
「もしかすると トニー?」
外国の方のお顔もみえた。
トニーだった。(写真)

実は ご存知の方もあるでしょうけど、
驚くべきお話がトニーのご縁であったのだ。
この2月、オーストラリア人のトニーは
名古屋に来た時、プライナスのなな下ライブに遭遇する。
すっかりまいったかれは、翌週にも来て、自慢のキーボードで
ゲスト出演。 プライナスの大ファンとなった。

そして再来日して今日水曜日、なな下ライブに来たのだった。
最初の出会いから帰国した彼は、オーストラリアで
一人の日本人女性旅行者と出会う。
仲良くなってドライブ中、かけたCDが「イマジンルール」。
そして帰国したその横浜の女性が、プライナスあてに
メールを送り、CDの要望とオーストラリアでのトニーのことを
伝えてみえた。

それだけでもプライナスは感激したのだったのだが
後日談がつい先日、プライナスの掲示板に載った。

プライナスのボーカル マミちゃんの妹の一乃ちゃんから。
なんと今 カナダのトロントに留学している一乃ちゃんと
その横浜の女性は前からの友達だったのだ。
なんと狭いこの世界。
必然の出会いの妙は イキです。

今日もゲストでトニーは演奏と歌。
「テルミー」
彼のやさしさが伝わってきた。
また来週も来るという。

ファンの一人ヒデオさんが携帯をもって叫んだ。
「ドラゴンズ サヨナラだ!
11回 5対4!」
「イエーーーッ!!!」
こんなところで今日一番燃えたよ。

さまざまな知り合いとお別れ。
妹たちと 徒歩で家路についた。
「イネイト」「ドラゴンズ」「プライナスライブ」
午後これだけを 長女とともに過ごした。

思えば少し気が落ちた時、朝散歩したり、
空いた時間に公園にでかけたり、
家族と一緒に遠出したりはたくさんあった。
でも2人きりのデイトはあの幼稚園の時以来。
なんだかいっぱい2人で遊んだ日だった。

寝床で横たわった長女がぼくを呼びとめた。

「お父さんーー 今日はありがとう。」

ぼくは 小さくうなづいた。