ある道のり25~いのちの実相 8 事件 2~

お隣さんは驚いていたようでした。
突然に屋根に何かが落ちてきたのですから。

そのせいかこちらの「開けてください。!娘が落ちました。!」
という呼びかけにも、ドアを開けることができなかったようです。

一刻を争う・・、途方にくれて、そう思いどこか屋根に上れる場所を探しました。
3件ほどが棟続きの平屋でしたので、そのはずれに行き
ブロック塀を登ろうと思い移動しました。

その場所について塀の下を見ましたら、なんと娘がそこに
横たわっていたのです。??

落ちた屋根は瓦屋根で8階から1階の屋根に落ちたのですが、
幸い木造の屋根がクッションになり足で天井裏を蹴破っただけだったようでした。
娘は朦朧とした状態で、瓦屋根ずたいに10数メートルをよろよろと歩き
地上に飛び降りたようです。

発見して、娘に呼びかけている時にちょうど救急車が着き、
救急隊員の方が応急処置をして、N病院に搬送となりました。

1ヶ月ほどの入院をしましたが、どこも骨折はなく
かすり傷程度の怪我ですみました。

落ちた高さのことを考えますと、奇跡としか言えません。

お隣の方に謝罪し、その日のうちに天井裏と瓦屋根の復旧を
させてもらいました。長くお隣さんとはあまりご縁がなかったのですが、
この日を境に仲良くさせていただくようになりました。

「このままではだめだ!もっと関わってもっと学ぼう。」と強く決意しました。

入院中には精神科の薬はほとんどなくて、一月間効果が持続する
強い向精神薬を注射されました。

ようするに今まで服用していた膨大な量の精神薬を
自然に絶った状況になったのです。

1ヶ月の入院の後、退院となりました。
足も体もどこもなんともなくて、通常の状態で歩けます。
ただ精神はやはり落ち着かず、ただ強い薬で弛緩した状態です。
その後は精神科のみの通院が必要でした。
ただ娘は入院中だったS病院に戻ることは絶対に拒否していました。

やむを得ず、以前に通院していたKクリニックに薬のみを私がいただきに行きました。
数々の学びをし、精神を強化し、リーダーシップトレーニングで学び鍛え、
毎日のアファーメションで心を保ち、掃除などの実践行動で
揺ぎ無い心を維持していたはずだったのですが、なんともろい心でしょうか。

世に言う統合失調症は落ち着いている状態から、急変しハイテンションになり
目の前の相手にあらゆる悪言を吐き、相手に怒らざるを得ない状況を
作り出します。まさに天才的、ああいえばじょうゆうです。

そのことの連続に、周りの家族は耐えられずに入院をさせざるを得ないのです。
娘は私の中の深い深いそして膨大な無意識下の怒りさえ
吐き出すことに手を貸してくれたのです。

怒りが感情の爆発を超えて、娘に向かった後、私の心は
ズタズタで日常の聖人君主のような学びは吹っ飛んでいきました。
罪悪感と挫折感に毎回打ちひしがれました。

やってもやっても限りのない、限界のない戦いのように思われました。
とても薬では治ることもないことは承知していました。

風邪ひとつ薬で治すことはできないのですから。
自分は胃から大量の血を吐いても病院にいかず、薬の一切を
飲まないような人間です。

病気の原因はみな自分にある。その原因を変えない限りなんども
なんども同じ病気になる。それは確信でした。

でも原因を今生に認められない精神の不調をどのように
因果で理解したらいいのでしょうか。

物質ではなく、何か不可解なことがある。
まだ何かわからないことがある。
漠然とそのように思いました。
そんな時に気の達人といわれる方に会うのでした。