金の苦労の足りない人
そもそもお金というものは、いわば現実界の事物の
引換券とも申せましょう。
それというのもこの世の中というものは、
詮じつめれば結局人間と人間以外の物から出来ており、
そしてこの人間以外の物の引換券が、つまりこのお金という
ものだとも申せましょう。
随って「金」を軽視するということは、結局は心の甘え
であって、断じて許されないことであります。
ですから金の苦労の足りない人は、たとえその人柄は
如何によくても、人間としてはどこか食い足らない気が
するのはその故でしょう。要するにそれは、お金についての
人の気持ちの察しがつかないところから来るのであります。
つまり世の中に対して甘えているからです。そしてこの世の中
への甘えは、結局は親への甘えからくるのであります。
そもそもこの人間界というものは、金の問題を度外視した
単なるキレイごとでは、終始できないのであります。
というのも結局は現実というものにしっかり足を
踏まえていないからだと申せましょう。