藤原 咲子 高校教諭・エッセイスト
病との戦いに奇跡的に打ち勝った母は、やがてその壮絶な引き上げ体験記「流れる星は生きている」を書き上げ、作家藤原ていとして一歩を踏み出しました。だがそこにいたのは私がずっと待ち続けてきた暖かくて優しい母ではありませんでした。幼子三人の命を失うことなく引き揚げという苦境を乗り越え、成功者として社会から讃えられる母だったのです。私は兄たちよりずっと厳しく育てられました。少しでも甘えようものなら「あんなに苦労して連れ帰ったのに、いつまでもわがままいうんじゃない」という言葉が返ってきました。
“致知出版社 一日一話 読めば心が熱くなる・・ 第二弾 7 「咲子はまだ生きていた」” の続きを読む