森信三先生の言葉 23~今後われわれ日本人は・・

 今後われわれ日本人は、つねに脚下の現実をふまえつつ、マクロ(極大)とミクロ(極小)を切り結んで生きていかねばならないのでしょうか。つねに一眼は「国際情勢」を、そして他の一眼は内展せられて、つねに「われ如何に生きるべきか」を考えることが大事でしょうね。

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 読書が、われわれの人生に対する意義は一口で言ったら結局、「心の食物」という言葉がもっともよく当たると思うのです。ところが「心の食物」という以上、それは深くわれわれの心に沁み透って、力を与えてくれるものでなくてはならぬでしょう。ですから「心の食物」は必ずしも読書に限られるわけではありません。いやしくもそれが、わが心を養い太らせてくれるものであれば、人生のいろいろな経験は、すべてこれ心の食物と言ってよいわけです。したがってその意味からは、人生における深刻な経験は、たしかに読書以上に優れた心の養分と言えましょう。だが同時にここで注意を要することは、われわれの日常生活中に宿る意味の深さは、主として読書の光に照らして、初めてこれを見出すことができるのであって、もし読書をしなかったら、いかに切実な人生経験といえども、真の深さは容易に気付き難いと言えましょう。否、気付かないだけですめばまだしも、かような重大な意味を持つ深刻な人生経験というものは、もしその意味を見出してこれを生かすことができなければ、時には自他を傷つける結果になるとも言えましょう。ちょうど劇薬は、これをうまく生かせば良薬となりますが、もしこれを生かす道を知らねばかえって人々を損なうようなものです。