森信三先生の言葉 18~今あなた方に手近なところで申せば・・・

 今あなた方に手近なところで申せば、たとえばご不浄の中に落ちている紙屑の類を拾って、容器の中へ入れておくとか、さらには人の粗相した後を、人知れず浄めておくとか。あるいは教室を最後に出る場合、部屋の戸締りをして出るとか、すべての人の眼に立たぬところで、なるべく人に気づかれないように善根を積むということであります。即ち人間が人知れず抱く心持や、人知れぬところで行う善行こそ、その人の気品のもつ「ゆかしさ」をつくる基盤になるわけでありまして、そのためには、この「報いを求めぬ」工夫ということが、一つの大切な心掛けと申せましょう。

                                    〇

 そもそも物事というものは、すべて比較をやめたとき、絶対無上となるのであります。総じて善悪とか優劣などということは、みな比較から起ることでありまして、もし全然比較をしなかったとしたら、すべてがそのままに絶対無上となるわけであります。

                                    〇

 この世ではまず一人を得ることが大事でしょうね。つまり一人の同志を得ることがいかに大へんなのかを知るべきでしょう。それにはあくまで一対一の呼応を大切にすべきで、次いでハガキの活用が不可欠でしょう。

                                    〇

 神とは宇宙的バランスの根底ともいえましょう。人間も金が溜まったり、まして名声が揚がったりすると、その反面どうもマイナスが始まるようですね。可成りな人でも、その人から匂いとか香りというものが無くなるようですね。